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あっちこっちシアターインフォ(八戸情報誌 amuse 2013年4月号)

文:田面木昭憲/劇団INTELVISTA

いろいろありまして…

誌面表示  昨年、はちのへ演劇祭の短編2本に参加した。演劇の街復活。ノスタルジックな響きの中に、熱いものが湧き上がりそうな予感。かれこれ16年、県南で演劇活動を続けてきた私にも何かできることがあるのではと思い、参加を決めた。いざオーディション会場に行ってみると、初めて会う方ばかり。もちろん八戸演劇界の重鎮も。さすがに緊張。16年もやっててこんなに知らない人たちがいるのか…愕然とする。しかし「まだこんなに芝居をしたいと思っている人間がいたのか」と嬉しくなった。稽古は楽しく、辛いものだった。それでいい。いい芝居(表現)を作るため、よさを追究するためなら。そうした3~4ヶ月。充実した日々を過ごし本番を迎えた。おかげさまで演劇祭はなかなかの評判を頂き、個人的にも貴重な経験やよき仲間を得ることができた。
 今その中の若手メンバーがいくつかの演劇ユニットを立ち上げ、活動している。演劇祭が振り落とした衝撃が、波紋として広がり、ひとつの形を成そうとしている。
 我が劇団にもひとつの変化があった。長らく八戸演劇界を牽引してきた加藤健太郎氏。演劇祭がなかったらおそらく一緒に芝居をすることはなかったであろう人物。その人が入団した。「短編集2nd」2度目の短編オムニバス公演。今までとはまた違った角度から作り上げた短編4本。演劇祭から始まった新しい繋がり、波紋が劇団INTELVISTAにも広がり始めた。
 中学校で習った化学式を思い出す。「HCl+NaOH→NaCl+H2O」…塩酸(HCl:酸性)も水酸化ナトリウム(NaOH:アルカリ性)も金属を溶かす性質をもつ。それを一方に少しずつもう一方を加えていくと、中性の水溶液(塩:NaCl+水H2O)になる。互いに互いの性質を打ち消し合うのだそうだ。金属をも溶かす両液体が互いの性質を消してまで作りだすものは、「塩」と「水」という生命には欠かせない物質というのは不思議な感じがする。
 ほぼ1年ぶりのINTELVISTA公演。もちろん加藤もでる。田面木もでる。そして今回は八戸演劇界の中心人物である田中勉氏も参加してくれる。おっさん3人(+女子)で何かを起こす。個性たっぷりの3人のおっさん(+女子)が互いの個性を打ち消し合うのではなく、ぶつけ合うことで新しいものを作り出そうとしている。個人的には、これから我々が演劇を続ける上で必要な「ひと味」が手に入るのではないか、INTELVISTAの新しい章が始まるのではないかと期待している。


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