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あっちこっちシアターインフォ(八戸情報誌 amuse 2017年05月号)

文:江渡将(八戸東高校教諭/演劇部顧問/表現科授業担当者)

ダンプロの意義と情熱と

誌面表示 平成29年3月19日にスペースBENで第13回八戸ダンスプロジェクト「DANCE DANCE DANCE」が開催された。このダンスプロジェクト(以下ダンプロと省略)について2つの視点で語ってみたいと思う。
その1.観客の視点。スペースBENの特徴のひとつなのだが、舞台と客席の距離がとても近い。演者の呼吸までも感じ取れる近さだ。心臓の鼓動も、肉体の発するリズムや表情も、とてもダイナミックに伝わる。GUEST DANCERのD&Fの二人のキレのあるダンスに至っては、肉体の発する圧力と躍動感にただただ息を飲むばかりだった。そのダンサーを魅力的に見せようとスタッフとして参加した若者も工夫を凝らしていた。舞台監督、照明、音響、アナウンスなど見事なコンビネーションで舞台を支えていた。センスのいい若者が集まったというだけではない。講師の方々の細やかな指導の賜であろう。
その2.教育者の視線。このダンプロは、実行委員長蛯名義一先生を始めとする文化活動に貢献されている方が講師としてずらりと並んでいる企画だ。ダンスを愛する若者たちとスタッフワークを経験したい若者たちが力をあわせてひとつの舞台を創っていくというコンセプトで始めて、もう13年も経つ。
このダンプロを経験した事により、刺激を受けてより専門的な知識を身につけたいとその分野に身を投じた若者もいる。ダンスが好きで自分の表現の可能性を信じてやってくる若者がいる。ダンプロは自分の好きなもの、興味あるものに更に踏み込みたいと思う時にその気持ちを受け止めてくれる受け皿となってくれている。塾であり、発表の機会であり、実績を積む貴重な場として機能しているのではないかと感じる。これは教育者としてとてもありがたく感じる事である。
「自ら進んで挑戦する意志と行動に新たな発見がある」とはダンプロが掲げているテーマだが、これこそまさしくアクティブ・ラーニングである。
最後に。まだダンプロを経験していない若者たちよ。ただの憧れに終わらせるのではなく、少しの勇気を持って、自らアクションを起こすことが大事である。次回、チャレンジしてみよう! 得るものはきっとある。たくさんある!


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