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アミューズ(地元情報誌)2001年5月号掲載原稿

文:山田景子(八戸)

 「女1〜4」

1
人は私を虐待母と呼ぶ。
子供が嫌いな訳じゃない。
だけど時々憎らしくなる時があるのだ。
月の引力の関係か。
私には、訳もわからずそういう衝動に
かられる時があるのだ。
だから私のせいではない。
     ○
同じ年の幼稚園の先生は、知恵遅れの子を
もつお母さんに、偉そうにこんな事をいう。
「赤ちゃんは、お母さんを選んで生まれて
くるのね。あまり子育てが得意でないお
母さんのところには、手のかからない
赤ちゃんが、」
だからがんばりやのあなたには、責任もって
育ててくれそうな、知恵遅れの赤ちゃんが
生まれてきたのだと。
なら、無性に叩きたくなる私の所にも
この子は選んで生まれてきてるから、
いいのですよね、先生。

2
子供が産まれない。
社宅でもどんどん生まれて、居ずらく
なっている。でも経済的に今は出られない。
「それなりに楽しみましょうと、」
同じ境遇の友人と旅行に行く前日
「ゴメン。成功した。」
と、キャンセルがはいった。
がんばって、と言わないところが
彼女と友達でいられた理由だった。
     ○
彼の実家にはもうしばらく行っていない。
気を使うのも、遣われるのも疲れるのだ。
「気にしないで、顔見せて」
と言う姑は、赤の他人。
「気にするな」
と、優しく肩を抱く彼も
赤の他人なのだ。

3
そうですね。子供が生まれたら
優しくなったって言われます。
働いていたころは、自分でも少し
つんとしていたかなって(笑)
結婚して、子供を産んでしまったら
社会からとりのこされるんじゃない
かって(笑)
でも、逆でしたね。
小児科や幼稚園やお母さん達の集まり、
子供がいなければ知らなかった世界が
いっぱいあるんです。
      ○
そうですね。
世の中も優しく感じます。
子供を持たないと、社会の見方も偏っちゃう。
でも、今まで知らなかった世界が広がって
何より、実家に親孝行出来たことが
イチバンうれしいです。
孫を抱いた父の笑顔。
今でも目に焼き付いています。

4
ろくなのがいなかったのね。
大したモンぶら下げてねえくせに
見栄と体裁ばっか。
なんであたしの周りってこんなの
ばっかりなんだろ。って
でも、気づいたの、ある日、ぴんと。
そういうレベルにあたしも居るって
こと?
なら、うんと頑張って、ここから
抜け出してやる。って。
いい男に声かけられる、いい女に
なってやるって。
エステはもちろん。勉強したわよ。
思いっきり世の中のこととか、通信
とかね。やろうと思えばできんのね。
で、早く結婚して一見幸せ先取りって
見えた子も今じゃばついちんなって
「あたし、間違ってた」
って、すごいがんばってる。
新しい女の生き方ってやつ?
今、すんごい楽しいよ。
(終)


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