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アミューズ(地元情報誌)2002年9月号掲載原稿

安達良春(八戸・創造集団パノラマ屋お頭/プラスワンシアター主宰)


生徒諸君!


 全くの私事ですが、最近バタバタしており「観たい!」と思っていた公演を2本見逃してしまった。時期はちょっと離れていたが、個人的に「これを観ずして八戸の演劇を語るなかれ」と思っていたのに、仕事に勝てず泣く泣く断念した。どんなに悔やんでも、もう観る事はできない。残念だ.....。いや、愚痴は言うまい。誰しも同じ時間の中で(多分)公平に生きているのだろうから。
 そんな中、久しぶりに高校生の芝居を観た。縁あってパンフレット制作の仕事を頂いた事もあって、当日会場へ足を運んだ。おそらく5年以上高校演劇は観ていなかったのでホントに久しぶり。オリジナルの脚本を2本の自主公演。途中休憩をはさんで1時間半ぐらいだったろうか。見終わって感想を書こうとして、凄く悩んだ。何を書けばいいのか、何を書いてあげればいいのか、何を書くべきなのか解らなかった。やっと数行「お疲れさまでした。頑張って下さい」といった類の言葉を並べて帰った。帰り際、客出しをしている高校生の笑顔が印象に残った。その笑顔をみながら「あぁ、高校演劇部の自主公演はこれでいいのかもしれなないなぁ」と漠然と思った。
 芝居自体は、私には面白いとは思えなかった。高校演劇のテーマと言えば先ず頭に浮かぶのが「大人は解ってくれない」「幸せってなんだろう」「自分探し」の3つ。2本とも見事にこのテーマで創られていた。テーマ自体はありふれてはいるものの悪くないと思うし、芝居にする為の着眼点も良かったと思う。ただ、舞台という見せ物にするには仕上げが弱かった。もう一工夫、二工夫あれば随分面白くなったと思うだけに残念だ。聞けば厳しいスケジュールを押しての公演だったそうなので、準備段階での不手際や、周りの人達へ掛けた迷惑もあっただろう。それをはねのけて...いや、あえて無視したのか?それとも気付いていないのか?いずれにせよ「自主公演をやろう」と思い立ち、やりあげた点は凄いと思う。しかし、そこからもう一歩前へ出ようとするのなら、もっともっと他の点にも目を向けなければならない。....いかん、また何を書けばいいのか、何を書いてあげればいいのか、何を書くべきなのか解らなくなってきた。高校演劇がこんなに難しいモノだとは思わなかった。
 ここまで書いてきて、はたと気が付いた。「厳しいスケジュールを押しての公演」「舞台という見せ物にするには仕上げが弱い」「準備段階での不手際や、周りの人達へ掛けた迷惑」....。全部自分にも当てはまるじゃないか!?まいった.....。八戸の演劇部の高校生諸君!もっともっと外へ出て、いろんなモノを観よ!芝居でも、映画でも、ライブでも何でもいい。じゃないと将来俺みたいになるゾ。積極的に情報を得て、いろんなモノを観て、どんどん吸収すればいい。きっと自分にプラスにする事ができる。ガンバレ高校演劇部。まず手始めにプラスワンシアターなんか、如何でしょう?貴方の心の中の「演劇」な部分に少しの刺激を送ります。


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