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アミューズ(地元雑誌)8月号掲載原稿

文:柾谷伸夫(八戸・劇団やませ)

 岩手県和賀郡湯田町。JR湯田駅々舎内に
銭湯がある温泉の町。
 昨年の九月、会場の銀河ホール見学を兼ねて、
毎年行なわれている『銀河ホール地域演劇祭』に参加した。
 演劇で町起こしをしている湯田町の演劇専門ホール
『銀河ホール』Iホールに入って、一発で気に入った。
まず緞帳。紺を基調に、たくさんの星座や天の川が
ちりばめられている。それだけで銀河の中にいる
雰囲気にひたれる。観客席がまたいい。客席は四百弱。
座席の他に、両側に畳二畳ずつ桟敷が計十ケ用意してある。
舞台の広さは、ぜいたくすぎるくらい広い。そして、極めつけは、
ホール全体の内装(色彩)。宇宙を意識している。
こんな遊び心で公共ホールを創る姿勢にうらやましさを感じた。
 大人の町民が、一年に最低四本は生の舞台を観るという。
そういえば、開場前、ホールの玄関に並んでいると、
町役場のバスが次々と町民を降ろしていく。彼らの手には、
何枚つづりかのチケットが握られてあった。町そのものが、
八戸市民劇場のような役割を担っているのだろう。
 この町に川村光夫氏が率いる、創立五十年を超える
劇団ぶどう座がある。氏も劇団も全国的に有名で、
その存在も大きいのだろう。

 この『銀河ホール』で、八月二十五日から三日間、
「第八回全日本演劇フェスティバル兼銀河ホール地域演劇祭」が
開催される。私ども劇団やませが加盟している、
全国のプロ・アマチュア演劇集団百団体ぐらいで構成している
「全日本リアリズム演劇会議」が、全国持ち回りで、
二年に一回フェスティバルを開催している。これへの参加は、
十数年前に岐阜で行なわれたフェスティバルに、
私の一人芝居『海村』が参加して以来である。
 今回は、やませ以外に次の演劇集団が参加する。
劇団埼芸(埼玉)「風・夏冬」、
劇団馬山(大韓民国)「春香伝」、
劇団自立の会(京都)「おこんじょうるり」、
劇団大阪「そして、あなたに逢えた」、
岩手ぶどう座「めくらぶんど」「お婆さんと酒と役人と」。
これ以外に、町主催の演劇講座から、
高齢者・障害者による「植物医師」と講座受講生による
「土神裁判」の上映と川村光夫氏の講演などが予定されている。
総勢二百人を超すという。
 この三日間、湯田町は演劇であふれかえりそうである。
 もう一つの楽しみは、土曜日の夜に野外で行なわれる
「大交流会」である。全国から集まった演劇関係者と町民が、
酒を片手に、楽しそうな出し物を横目で見ながら、
夜を徹して口角泡を飛ばす大交流会。
厳しい批評は勿論、演劇に関するさまざまなとこが、
そこかしこで話し合われる。
 我々の『我が内なるラピュータ』も酒の肴にされるのは
目に見えている。
 劇団やませは、今年、創立三十年目を迎える。
記念公演予定の、四月の八戸子供劇場での『おこんじょうるり』は
すでに終えている。この八月の『我が内なるラピュータ』は
その二弾となる。『我が……』は、八戸でも七ステージ、
東京で三ステージを演っているので説明はいらないとは思うが、
明治時代のちょっと変わった私設天文学者、
前原寅吉を描いたものである。
なお、フェスティバル終了直後の八月三十日(水)に、
八戸市公会堂で、長者中学校の演劇鑑賞教室も待っている。

 記念公演の最後は、十一月十八日(土)、十九日(日)に
予定されている『九戸政美』である。五月下旬に台本が出来上がり、
『我が……』の稽古と並行して脚本研究も予定されている。
演出は、久しぶりに、東京から栗谷川洋氏を招聘することになっている。
秋は暇がなさそうっ!
 記念誌や祝賀会の話も出ているが、さて、
取り組む時間があるものやら……?



第8回全日本演劇フェスティバル
   岩手湯田銀河ホール地域演劇祭
8月25日(金)・26日(土)・27日(日)
場所/ゆだ文化創造館銀河ホール
◎入場料金 
○3日間通し券 大人=1.000円
        小中高=300円
問)ゆだ文化創造館銀河ホール・0197-82-3240


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